第100章 もし離婚しなかったら、あなたが一番焦るだろう

中野航平は長谷川明子の言葉を聞いた瞬間、思わず面食らった。

――俺、また何かやらかしたか?

「妊婦さんは気持ちの波が大きいものよ。航平くん、悪いけど少し大目に見てあげてね」

明子も、娘の態度が急に変わったことには首をかしげていた。けれど、いちばん大切なのはやっぱり自分の娘だ。

中野航平は表情を崩さずに言う。

「お義母さん、冗談を。俺が当然やるべきことです。栞が今日会いたくないなら、また明日来ます」

そう言いながら、両手で弁当箱を差し出した。

「スープは俺が煮たものです。栞に、少しでも飲むように言ってもらえませんか。お願いします」

深く頭を下げられてしまい、明子は断りづらくなる...

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